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過食・精神不安定


●20代女性 身長154 体重58.8(BMI 24.8)

【主訴】過食を抑えたい 精神を安定させたい

【その他症状】

鬱っぽい、気分の落ち込み、音に敏感。夕方になるとさらに気分が落ち込む。感情の上下が激しい。胸がモヤモヤしたりドキドキしたりする。甘いものを過食してしまう。

【病因病理】

 もともとAさんは対人関係において他者に気を使いストレスを持ちやすいタイプの方のようであり、様々な面から強いストレスがあり、肝気の鬱滞を起こしやすい。気滞から胃熱を生じ、過食の悪循環のパターンに陥ってしまいがちである。

 昨年から生活環境の変化がありストレスがさらに増えたものと思われる。体重が増え、焦燥感、もやもやざわざわ感や、鬱症状などが悪化している。ストレスによる肝熱から上焦に熱が生じ、胸悶の症状や口渇、過食傾向の症状が出ているのではないか。正常な肝気を立てることができず精神的に不安定な状態になっていると思われる。しかし一方では体重が順調に増えていることから、脾気自体は一時より回復傾向にあるのではないかと考えられる。

 切診での状態を見ると、大椎冷え、風門、肺兪の緩みなどから、現在風邪を引いているか、風邪の内陥の可能性が考えられる。また腎兪や気海兪に陥凹があることから、現在腎気の弱りがある事が分かる。風邪の影響や、脾腎が弱ることでより肝鬱になりやすいことも考えられる。

 しかしこのように脾腎の弱りは見られるものの、しっかりとした筋肉や全身の皮膚の状態の良さ、そして一時大きく脾の器を壊したものの、体重もすみやかに増え、現在便通などにもそれほど問題がない程まで脾気が回復していることから、素体の身体は意外としっかりとした方なのではないかと考えられる。逆に言えば、素体は丈夫な方なのにも関わらず、それでも大きく身体を損傷させてしまう程に、ストレスの影響を受けやすく、肝気のコントロールが上手くいかず自身を損なう方向に向いてしまうのではないか。

【弁証】肝鬱 脾虚 腎虚 風邪内陥の可能性

【論治】補脾 補腎 去風散寒

【治療指針】

*まずは補腎を中心に行い肝気の根をつけ肝気のコントロールをしやすくする。

*体表観察で脾虚が明確にあれば脾の補いを優先する。

*本人との信頼関係づくりを大事にし、やせることや過食を問題にすることよりも、まずは血糖値の安定、精神的安定を目指す。

*自己を受け入れ自信を持てるようにアドバイスし、精神的安定を図っていきたい。

*体表観察に留意し風邪の反応が診られた場合は風邪の治療を優先する。

【院長より一言】

 鍼灸治療では、身体の緊張を和らげたり、少しでも気持ちが安定するように、そしてもやもや感ざわざわ感が納まるように治療をしていきたいと考えています。病気があるということは非常に辛いことです。けれども病を抱えながらも健康に生き生きと生きていくこともできます。一緒にがんばっていきましょう。

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